
あんころバッドトリップ
はやくも街の写真では無くなってしまった。近所のスーパーはバイヤーの好みが面白くて、ご当地銘菓(ちょっとコアなやつ)が定期的に売られている。なぜか全く宣伝されておらず、お菓子コーナーの片隅にひっそりと佇んでいる。
今回買ったのは石川県の銘菓あんころ。見た目はかなり小さめの赤福。20個入りだったが期限も短いので1人で全部食べることになった。冷静に20個もお餅を食べる必要がないのそうだけど、この時お土産として親しまれているご当地のお菓子は、誰かと一緒に食べて初めてその美味しさを味わえるものだと思った。自分の知らない土地の知らないお菓子を一緒に食べるという行為に様々な美味しさが詰まっている。
北海道物産展とか、ご当地シリーズで何かを買って帰り、自宅で食べた時の虚無感の正体がやっとわかった気がする。買い物をする瞬間がピークで、その瞬間だけトリップは成立しているが、家に帰ってきてそれを食する時には何もかもが終わっている。あんころバッドトリップとはそのことでした。

